(第72話) 最上級のホールド・いざ実践!Ⅴ 呼吸の操作でホールドを作る!?

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またまた話を進ませて、和夫と真理の練習シーンだ。

「私、カズに教えて欲しいところがあったんだ。
昨日のレッスンのニリツ・・・」



「“ニ律背反性(にりつはいはんせい)”だろ?」(第71話)


「そう、その感覚を使ってホールドを作るところが、
やっぱりわからないの」



「あぁアレは、言い方が違うだけで、

作用反作用と同じだと思ったほうが、

理解しやすいと思うよ」(第69話)



「“作用と反作用”って、
床を押す力と押される力のアレね」



「そう。
『押すと同時に押し返される』という働きは、
もう、ニ律背反
(相反する、矛盾する事柄が共存していること)だからね。
人間が地球上でダンスする限り、
まずは自分の重みと床とによる“作用と反作用”関係は確実にアル。

重力は絶対的な力だからね。

それが大前提での“ニ律背反性”だと思うんだ」



「カズって頭イイよね。
ジュンコ先生のレッスンって理論的だから、私ついていけるかなぁ~」



「理論的っていうより哲学的だよな、この話は。
まぁ、心配するなって。オレが教えてやるから」


思った以上にカズは頼もしいリーダーね、
真理はそう感じていた。


「・・・だから、プリント (第68話)
④の床を下に感じた分だけ手が上がり、
カラダの中を後ろに引きこんだ分だけ手前にいくのを感じる

が実感になるならないは、
②の床からの反作用を受け、お腹にパワーが上がってくる
の実感があるなしにかかってくると思うんだ」



「なるほどね。
②の感じがつかめないと、それから先に進めないわね」



「ソウ!床からのパワーは重要! 

でも、まだ大切なことがあるよ。
あ、ちょっと実験してみようか?」

和夫は真理を壁の前に立つように指示した。



「このままでまず、
床からの反作用を受け、お腹にパワーが上がってくる
をやってみて」



「ア、これは少し感じがわかるようになったわ」



「じゃぁそのまま、ひじは軽く伸ばして手のひらを壁に当てて。
当てるだけで押さないでいいからね」


真理は、右手のひらを壁に当ててみた。


「どんな感じ?」


「何も感じないわ。ただ、壁に手を当てているだけよ」


「床からもらったパワーが手まで届いた感じは?」


「ナニも・・・」


「そうだよね」
和夫はニタニタして楽しそうだ。


「な、なによ?」



「これだと、せっかく床から反作用のパワーをもらっても、
手・腕、つまりホールドにまで届かせることができないんだよ。
だから、足で踏んで、手・腕を上げてホールドを作る。
それだと足と手がバラバラになっちゃうんだ」




「フンフン、
床からのパワーをホールドにまで届けるためには、

何か操作がいる
のね」



「そうなんだ。
その操作をした結果、
ホールドを作るときのニ律背反感覚がより明確になるとも言えるし、
ニ律背反感覚運動そのものがその操作であるともいえる・・・」


「???」


「あのね、ここ見て」


和夫はジュンコ先生からもらった、
ホールドの作り方のプリント (第68話)を持ち出し、
③の(呼吸筋の操作)、
そして,
④のあとに(体幹部インナーマッスル・呼吸筋の操作)
と書かれた部分を指さした。


「アラ!?ちゃんと書いてあったのね。
体幹部インナーマッスル・呼吸筋の操作・・・」


「ソウ、それをすることによって、
床からのパワーはホールドまで届けることができるんだ。
僕がもらった床からのパワーは、
ホールドを通し、もれなく真理ちゃんへ・・・(笑)」


「へぇ~カズ、その操作方法ってわかるの?
レッスンで習ったっけ?」


「最初のほうのレッスンで、
ホールドに大切なインナーマッスルと、呼吸筋のことは習ったよ。
そのときのレッスン中に自分でメモったのを読み返しているうちに、
話がつながってきたんだ。
で、夕べ、寝る前一人で試していたんだよ。
さっきやったイメージトレーニング(第70話)を・・。
そうやっているうちに、思いついたんだ」



「そうだったの!すごいわ、カズって!」



「真理ちゃんからソウ言われたくってね、
がんばったんだ(笑)」

和夫は最初の頃のレッスンで渡されたという、プリントを持ち出した。


そこには・・・


和夫のメモ
・ホールドを作るインナーマッスルである菱形筋と、
みぞおちから足を動かすインナーマッスル大腰筋はつながっている。
連動できるようになれば、手・足はバラバラにならない。(第62話)
連動させるためには呼吸を止めない感じが必要。

・大腰筋の活性化のためには上下横隔膜呼吸を。(第63話)

・上下横隔膜呼吸は呼吸筋、特に肋間筋を活性化。(第64話)
センター軸感覚を育てるため。

・肋間筋もホールド形成に関わる筋肉である。



「もう一回実験してみようか。
さっきのように壁に向かって立ってみて。
ソウ。で、床からの反作用を受けて、そこから、いい?
壁に手を当てて上下横隔膜呼吸をやって欲しいんだ。
肋骨を開くように、鼻から息を大きく吸って、
おしりの穴を締めながら、
へそを背中にくっつけるように、口からフゥーっと吐く・・・
わかりやすいようにちょっと大げさにやってみて」



「スー、ハぁー」



「で、ここからが肝心だよ。吸う時は、
床からの反作用でもらったパワーを肋骨の中に入れるようイメージしながら、
で、吐く時は、
そのパワーがホールドを伝わって、壁に出ていくのをイメージするんだ。
さぁ、どんな感じがする?」



「スー、ハぁー・・あぁ、わかってきたわ」



「どんな感じ?」



「あのね、吐いた時、自然に壁を押しているわ。
それも、カラダの中を後ろに引きこんだ分だけ前へって感じ・・・」



「ピンポーン!それだよ、ニ律背反感覚のホールドって。
じゃぁ、次に、壁から離れてやってみようか」


真理はちょっと驚いている。
カズにレッスン受けてみるみたい・・・。


プラクティス

①床を感じ、反作用でパワーをもらう。

②吸いながら、手を上げていく。
そのときの感覚が、
カラダの中は床に向けて押す感覚(下)その分だけ手はあがる(上)

③吐きながら、手を前へ差し出していく。
そのときの感覚が、
カラダの中は引き込む感覚(後)その分だけ手は差し出される(前)

以上①②③を繰り返すことで、
床からもらったパワーはホールドに送り出し続けられる。


「別に本当に吸ったり吐いたりしているわけでもないんだと思うんだ。
実際のホールドを作る時って。
ただ、呼吸筋・インナーマッスルは、
あたかも呼吸をしているかのような、
繊細かつ大胆な使い方をしているんだろうとは思ったよ」




「それってスゴイ発見よね。エライわ、カズ。
私もこれからレッスンの時ボーっとしていないでメモろうかな?」



「大丈夫。ボーっとしていても、オレがメモっといてあげるから(笑)」

二人は、さっき練習したイメージトレーニング(第70話)と、
今のニ律背反感覚のホールドを合体させて練習してみようと、
元気にフロアーの真ん中に移動していった。



      続く 第73話へ



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コメント

  1. 堀本秀生 より:
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    ジュンコ様

    堀本秀生です。
    61、62、63、68、70、72話を拝見させて頂きました。
    「ホールド」とは男女の組み方でよろしいでしょうか。

    《先「男性と女性が、初めてホールドを体験する瞬間って大切なのよね。
    なぜって、カラダに新たな記憶が刻まれるんですもの」》

    61話のポイント、とても共感します。

    「活元相互運動」は背骨の一番力がかかっている処へ手を移し、片方の手は適当な処に手を当てて、一緒に動きます。
    ただそれだけですが、背骨に手を移す瞬間がやはり大切です。それは「カラダに新たな記憶が刻まれる」からです。私の場合は自分の背骨を見ています。相手の背中に私の手が吸い込まれれば、相手は私と一体感が生まれます。でもむつかしいです。手を通して相手に寄り掛かったり、相手が嫌な奴だと、違和感が生まれたりすると、さぁ大変です。気持の良い、風のような感じが生まれれば良いのですが。

    一人で行う「活元運動」は個体保存の運動、二人以上で行う「相互運動」は種の保存の運動と言われております。お互いの協力と助け合いのカラダの運動として発展するからです。最初は「漏氣法」と言う呼吸法で相手と呼吸を合わせます。「漏氣法」とは、吸い込んだ息を少し漏らし、お腹に落とす腹式呼吸法のことです。カラダの運動は吐く息が長い方に合ってきます。

    手の操作方法はとても勉強となります。
    ありがとうございます。
  2. ジュンコ より:
    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    堀本秀生さん

    すごいお話です。

    感覚がとても良くわかります。
    書いてくださっている内容は
    ホールド(男女の組み方)における、
    ポイントそのものです。

    「気持の良い、風のような感じ」
    というフィーリングは新鮮です。
    また、
    「漏氣法」
    における
    「カラダの運動は吐く息が長い方に合ってきます」
    とは、非常に興味深いです。

    今までとは違う視点から、
    改めてホールドの大切さを思いなおすことができました。

    勉強になりました。
    ありがとうございました。